シンフォギアXV7話 『もつれた糸を断ち切って』
マスターのために働くことが、アタシたちの使命なんだゾ!
TVシリーズ最終章ということで、過去シリーズを見続けた人へのプレゼント的な展開が随所に現れているけれど、今回のオートスコアラー復活劇は、ファンサービスだけにとどまらない〈昇華〉があって、視聴中はずっと心が千々に乱れっぱなしでした。
思えば1章のフィーネ、2章『G』のF.I.S(含むウェル博士)、4章『AXZ』の錬金術師三人組は本編、あるいは続編以降で「自分の生を全うできた」ことを口にしているのだけど、3章『GX』のキャロル&オートスコアラーだけは、求めていたものに手が届かないままに終わってしまったんですよね。
様々なIFストーリーが楽しめるアプリ版でも、それは変わらずで、故にキャロルたちは見ていた人たちにとってトゲのように刺さっていたと思うんですよ。
で、今回の復活劇なわけです。
蘇ったガリィはエルフナインに「スクラップにスペアボディ? 呼び方はいろいろあるけれど、再起動してくれたからには、やれるだけのことはやりますわよ?」と言い、ミカも冒頭のセリフを口にします。
つまりオートスコアラーは「滅私奉公」つまりマスターの望みを叶えることだけが存在理由だと、言ってるわけです。
(思えば敵として暴れまわっていた3章も、キャロルの望みを叶えることだけに専念した結果に過ぎなかったんですよね。)
だから今回も、オートスコアラーは簡単に自らが犠牲となってエルフナインを救う。
だからエルフナインは、一度「ごめん」と言ったあと「ちがう、ありがとう、ファラ! レイア!」と感謝の言葉を口にし、それを聞いた二人は自分たちが「生を全うできた」ことを感じ、笑みを浮かべた。
そして最後の覚醒シーン。
「みんなはボクのために……
じゃあボクは、みんなのために何を……
みんなのために、ボクは!」
エルフナインは最初「この体は大切な人からの預かりものです」と言っていましたが、その言葉の真意は「自分はキャロルの代替品でしかない」という、自分を卑下する意識の現れだったと思います。
ですが、オートスコアラーが全力で自分の身を守ってくれたことで、エルフナインは自分がキャロルそのものではないにしても、オートスコアラーたちにとっては大切なマスターであることに変わりがないことに気づく。そしてそれこそが、キャロルとしての覚醒につながったのだと思うのです。
「奇跡だと……?
冗談じゃない、オレは奇跡の殺戮者だ!」
からのエンディング曲『スフォルツァンドの残響』への流れは、自分の息さえ耳に入れたくないと、無意識のうちに呼吸すら止めて聞き入ってた気がします。
その他、細々としたお気に入り。
・「こいつら、廃棄施設をアジトがわりに使ってやがったのか!?」
このセリフの瞬間、雪音の腕が少しだけ動くのが芸細。動かさなくても成立するシーンだけど、わずかに動いたことで、彼女に銃を突きつけられていたヴァネッサがわずかな隙をつくことができた、という流れに説得力を持たせられたと思います。
・「君が!? 無茶だ!」「そう無茶です! だから、応援をお願いします!」
あのエルフナインに気圧される弦十郎というレアシーン。「自分も頑張るが、それだけでは不十分なので応援が欲しい」とエルフナインが冷静な判断をしているのもgood。