『君がいなくても平気』
決して世紀の恋愛じゃない。その程度の相手が逮捕されることで、人生を狂わされてたまるものか。
読んだつもりで読んでいなかった、石持浅海さんのミステリ。多分『彼女が追ってくる』と勘違いしていたと思われる。
ヒット商品を生み出したその翌日、チームリーダーが不審死を遂げる。開発チームのひとり水野は、自分の恋人が殺害した決定的な証拠を掴み取るのだが……。
一般的な正義感も倫理観を持ち合わせない、石持さんのファンならお馴染みの主人公でまずはほっこり(笑
事件解決を求めず、自分のために自分の知りたい情報だけ推理しようとする男の物語です。
表題でもあるセリフが、どのような形で発せられるのか(そのままの意味か、逆転するか、はたまた主人公以外のセリフなのか)が注目ポイントなのですが……なかなかそこにたどり着かず、やきもきさせられます。(メインテーマなのですぐ明らかにならないのは当然なのですが)
密室トリックやアリバイトリックといった「これがわかれば真相に一気にたどり着く」ハードルがないので、読む人によっては盛り上がりにかけると思ってしまうかも。
個人的には、水野と恋人の早智恵の関係が、碓氷優佳と伏見の裏面のように感じられて、そこへの注目がかなり高くなっていました。碓氷優佳シリーズの新作、出ないかなあ……。