どう考えてもミルコビッチ=オシム。
「挑戦者はいろんなもんに立ち向かってかなきゃなんねえんだよ
そしてそれはさ 難しくはあってもつまらないことではないよ
挑戦を選んだ先には 必ず何かを得た自分がいる
それを知ってる奴らは挑戦を苦と思わない
成長できるはずだと自分に期待して
目の前のことに希望を持って立ち向かえる」
『ジャイアントキリング 26』(綱本将也/ツジトモ)
前巻から引き続き千葉戦。
マークされる側になったETUは、攻めのパターンを攻略され、弱点を突かれて失点する。
それに対し達海は、
「俺たちが後戻りできないハッパをかけてくれた。これで俺たちは前に進むしかなくなったんだ」と、新たなチャレンジを宣言する……。
僕の中では、この作品には複数の主人公がいる(監督=達海、選手=椿&村越、サポーター=ゴロー&羽田)前提で読んでいるのだけど、この巻ではゴローが第一主人公、椿が第二主人公といった感じ(羽田もそうなのだけど、出番は次の巻メインかな)
息子といっしょに応援したいから、サポーター同士のもめ事を仲裁し、一致団結を呼びかけるゴロー。
チームが新しい一歩を踏み出すため、トップ下というポジションで自分の力を最大限に活かそうとする椿。
ふたりとも、シーズン開始直後と考え方自体が変わっているのがポイントですね。
(ゴローは達海をもう一回見たい、椿は自分なんかが……とテンパり気味)
後半のシステムは4-2-3-1。
位置関係はそのままだけど、左MFだった世良が1トップに、右MFだった赤崎が左に移動。空いた右MFに宮野投入(OUTは堺)
そしてトップ下のジーノとボランチの椿をポジションチェンジという形に。
攻撃としては、前の4人がスペースに飛び込み、ボランチの位置からジーノがロングパスを通すといったところ。
守備に目を向けると、豊富な運動量でルーズボールをさらったり、抜け出した相手選手をマークしていた椿が前に上がったせいで、相手にボールキープはされやすくなっている。その代わり、ポジショニングが上手いジーノが相手のシュートコース、パスコースを塞ぎ、村越がボール奪取に動くという形に守備のスタイルを変更。
相手がポゼッションからパスで崩すという形のときは、椿もDFラインまで戻ってきているので、今まで攻撃:守備が5:5だったのが、7:3ぐらいになった、というところでしょうか。
しかし、視界に入るだけでシュートをミスするとはジーノの存在感はどれほどなのか(笑
新監督、選手の個を活かすETUと対照的に、3年目、戦術に選手を当てはめる千葉、という構造も今回はクローズアップ。
日本ではETUタイプが今だと人気だけど、戦術を選手の限界ギリギリのレベルに設定することで勝利と成長を両立させようとする、個よりも見た目の成長スピードは遅いけど、しっかり成長していると選手が実感できている、という場面を見せているのは、作者が「監督はもっといろんなタイプがいていいはず」という思いがあるんだろうな。
まあ、原作者が千葉サポだからかもしれないけれど(笑
次回は千葉戦決着。そして五輪代表編へ。